ピアサポーターの心得
辛いことがあってもへこたれず、折れそうになってもしなやかさを保って折れないように支えることが、ここでいうサポートです。看病に追われていたり、自分自身が闘病中であっても、その状況を乗り越えて生き抜いていくことが目当てです。そのために自分でできること、お互いにできることがあります。それをピアサポートと呼びます。ピアサポートは限られた数の専門家に依存しないので、サポートを受ける時間や場所の自由度が高まります。ですからピアサポートは自分で行え、お互いに行え、ずっと行えるサポートなのです。
小児がん家族のピアサポーターとしての心得
何を目標にするか
ピアサポートの大きな目標は「身近な心の安全地帯をつくること」です。
癒す・癒されるの関係ではない
ピアサポーターは環境をつくります。その環境が整うと、相談者は自ずから癒えていったり、成長していきます。
ほんとうの自分になれるおおらかな雰囲気が大切
安全な場では、緊張など不必要なエネルギーを消費せずに済むので元気がたまりやすくなります。おおらかな雰囲気は、相談者が自らを癒すためにさまざまな試みを行うことを可能にします。
相手にとってのサポーターである
サポーターは相談者が「支えられている」と感じた時(サポーターとして機能したとき)にその相談者にとってのサポーターになるのです。
サポーターの振る舞いは多様である
二人として同じ相談者はいません。ピアサポーターは絶えず変化するダイナミックな存在である相談者に関わります。唯一の正しい振る舞いの公式を追求してもほとんど意味がありません。
リラックスできるように
サポーターが緊張していたのでは、相談者は楽な気持ちになれません。
自他の領分をわきまえる
相談者がすべきことは相談者自身でやれるように促すことが大切です。「自分のことは自分でする」が原則です。
敬意とためらいが大切
相談者はピアサポータであるあなたと同様に、たくさんの苦難に耐え生き抜いてきた方々です。権威的になったりしないように心がけ、豊かな敬意と少しのためらいを常に心に併せ持つことが大切です。
心の応急手当て -Psychological First Aid (PFA)-
Firstは「応急の」とともに「一番大切な」という意味もあります。両方の意味を込めてPFAを扱いたいと思います。常日頃の心のケアこそが最も肝心なのです。
PFAについて、ここでは2点ご紹介します(※参照)
- 支える時に役に立つこと
相手への関心、配慮、思いやりを示す
邪魔の入らない時間と場所を選ぶ
思い込みや判断から自由になる
その人なりの受け止め方と対処の仕方に敬意を示す
この種のストレスから回復するには、時間がかかることを知っておく
その人が、自分で答えを探し出せるように手助けする
その人の回復する力を信じる
必要であれば、何度でも話したりそばにいることを申し出る - 支える時に役に立たないこと
じっくり考えずに「あなたは大丈夫」あるいはただ「乗り越えられるはずだ」と言う
その人の話に耳を傾けず、あなたの個人的な経験について話す
辛いことを話している時に、話の腰を折る
あなたのようにうまく対処できないからといって、その人が弱い、あるいは大げさであるかのように扱う
その人の不安に耳を傾けずに、あるいは何がその人の役に立つかを尋ねずに、一方的に助言する
「もっとひどいことにならなくて幸運だった」と言う
*『サイコロジカル・ファーストエイド 実際の手引き』兵庫県こころのケアセンター
ピアサポーターのモラル
人が人に関わっていこうとするとき、そこには守るべき約束があります。ピアサポーターのモラルとして以下の4つの約束をご提案します。
- 相手の尊厳を守る
- 自分と相手の領分をわきまえる
- 自分の能力を超えることを相手に対して行わない
- 相手の秘密を守る