家族会とは

家族会や親の会というとどのようなイメージを持つでしょうか。定義はあるのでしょうか。
一般的に目的に向かって活動する組織には約束事があり、人的・物理的・金銭的資源が必要です。しかし、同じ病気の子供を持った親や家族がメンバーを募り、活動するにはきまりはまったくありません。同じ闘病体験をしたことで、共通な悩み、思いをもち2人、3人と輪が広がり仲間となって交流すること、それがすでに家族会なのです。最も大切なことは同じ体験をしたからこそ分かち合い、癒しあえる関係を築くことではないでしょうか。それはピア(仲間)でないとできません。家族会では、ピア同士のサポート(支援)を活動の要とするのが特徴です。

家族会のはじまり

小児がんの家族会は1960年代のはじめ、アメリカの病院で行われたカウンセリングが始まりといわれています。日本の小児がんの家族会は、1968年に設立された「がんの子供を助ける親の会」(現「公益財団法人がんの子供を守る会」)が小児がん家族会の第1号と言えます。親たちの社会への発信から共感が広がり、今では小児がんの家族だけではなく、小児がんの治療、小児がんの子どもの生活に関わる人たちも参加し、家族や子どもたちのための支援団体として形を変えながら発展しています。
1980年代後半には小児がんの子どもが闘病する全国の病院の中に家族会が設立されはじめ、後に「院内小児がん親の会」と呼ばれます。

小児がん家族会のこれから

小児がんは成人のがんとは違い、発症数は大変少なく「希少疾患」ともいわれています。

小児がん家族会の役割で最も大きなものは、小児がんの子どもを持つ親へのこころの支援です。同じ病気の子どもを持つ先輩親からの情報やアドバイスを受けることができ、同じ悲しみや不安を共感してくれる家族会は、親にとって最も大きな存在になるのです。

闘病生活が長くなる子どもにとって、病院は治療をするだけでなく成長期に欠かせない遊びや学びの場になります。家族は生活の質を高める手立てを講じたいと考えます。親の会に参加する家族がときにボランティアとして活動するなど、闘病環境を親が変えていく行為は、親子双方にとっても意味深いかかわりととることができます。

小児がんは以前は不治の病であり、恐ろしい病気でした。しかし近年の治癒率の向上から、小児がんは死の病ではなくなりつつあります。そのため退院後は長い人生の中で小児がんと共存しながら学生、就職、結婚、育児といったライフイベントを乗り越えていくのです。
そのためにも世論の理解が不可欠です。現在進みつつある親の会同士のネットワーク化は、情報の共有や交流、社会への発信へと広がりを見せるでしょう。親の会の関係は、仲間、地域、社会へと広がり、当事者だけではない立場を超えた付き合いが見られるようになっていくでしょう。