小児がん医療の基礎知識

小児がん医療

小児がんは大きく分けると、血液がんと固形がんに分かれます。血液がんの中には、白血病や悪性リンパ腫というものが含まれます。固形がんの中で、数の多いものは脳腫瘍です。その他にも神経芽細胞腫や横紋筋肉腫、網膜芽細胞腫といった種類の腫瘍があります。小児の固形がんは全身にできることが特徴ですので、それぞれの発症部位によって、小児科だけではなく、様々な診療科と連携して診療しています。

小児がんは、治癒が期待できる疾患になってきました。そこが、大人のがんとの大きな違いになります。また子供のがんは希少疾患で、大人のがんと比べてもともとの発症数が違います。もちろん早く発見することがとても重要な腫瘍もありますが、多くの小児がんは腫瘍そのものの性質によって、はじめから治りやすさは決まっていることが多く、腫瘍が見つかる時期というものはそれほど治療成績に影響しません。

小児がん拠点病院は2013年2月に、全国を7ブロックに分け、15の拠点病院が指定されました。拠点病院の目的は診療ができる病院を限って専門性を高めることと、どこの病院に行っても高い医療が受けられること、またこの二つのバランスをとることです。この15の拠点病院を取りまとめる小児がん中央機関として、国立成育医療研究センターと国立がん研究センターが選定されています。

がん細胞は、日々の分裂・増殖の過程で偶然に間違いが起こり、排除されるはずの不要細胞が排除されず、増殖を繰り返してしまったことにより起こります。本来排除されるべきところでのチェックポイントをすり抜けて進化してしまい、機能に異常をきたしてしまったことによります。この偶然の積み重ねが「がん化」といわれるものです。
小児がんと成人のがんとではその機序や治療の過程が全く異なります。成人のがんは遺伝子の異常が多く関与し、さまざまな原因が複雑に絡み合って発症するのに対し、小児がんは遺伝要因での発病は稀で、子どものがん細胞はある偶然によって生じるという単純なものなのです。